今年の漢字「猫」

今年もまた12月28日は大好きな人の歌を聴きに武道館に出かけ、大好きな仲間と美味しいものや旨い酒を囲んで大笑いして、翌朝ほんの少しの寂しさを抱えつつ帰路につき、出迎えてくれた猫の頭(今年はふたつ!)を撫で、まずは猫トイレを掃除してから家全体に掃除機をかけ、バタバタしているうちに大晦日を迎える。

吉井和哉が春に発表した「The Apples」というアルバムは、震災前にすべて制作されていたにもかかわらず、震災を予見していたかのような歌詞をいくつも内包している。そのひとつ、『MUSIC』の「どんな時も傷に染み込む 音楽があってよかったな」の一節(28日は、「どんな時も傷に染み込む 吉井和哉があってよかったな」と歌っていた)。

そのことを、これほどに痛感する年は今後そうないだろう。震災後、福島県いわき市在住のある方が、こんなツイートをしていた。「今晩は仕事のあと焼き鳥屋に呑みにいくんだとか、明日は友だちとランチとか、新しいブラ奮発しちゃったキャーとか、人は、そういうちょっとした楽しみがなければ、毎日レトルト食品ばかり食っていたら、命はあっても心が死ぬんだよ」。避難所にいる方たちの「レトルト食品は飽きた」というコメントに対して、「贅沢だ」と心ない発言をした誰かに対する反論の言葉だった。

私自身、長年ファッションとか映画とかアートの仕事に携わってきて、ときどき、それこそ今年のようにたくさんの人の人生が激変するようなことがあったときに、こんな仕事なくても誰も困らないじゃないかと思うことがある。誰かの役に立ってるのかと不安になる。音楽とか映画とかアートとか小説とか、別になくても死にはしないだろう。でもそう、心は死んでしまうかもしれない。だから、表現者は自分のステージに上がり、私たちはそれを全身で受け止めにいく。



いろいろ大変な1年でしたが(9月11日生まれの私は、やはり11という数字には何かあるのだと思わざるをえないけれど)、でも全然話は変わるけど、私の今年の漢字を選ぶとしたら「猫」「猫」「猫」。それ以外にはない。 今年、猫の親子に出会ったのは、やはり必然だったのだと思う。

ロビン、ビビ、ちくわ、こんぶ。そして、ぐり。




あなたにこの世の全部の幸せをあげる!

2012年、どうかどうか良い年になりますように。